シャーマニズムの未来

シャーマニズムの未来

昨日、中野で開催された「シャーマニズムの未来」のシンポジウムに行ってきました。

無謀にも傘を持っていかなかったら、行きにめちゃくちゃ降られて、諦めてコンビニで傘ゲットです。普段あまり傘をさす習慣がないと、持ち歩くのが億劫になります。

意外と人が沢山で、後で司会の鎌田東二氏がいうには、赤字じゃないのは久々だったそうで、午前の部の久高島の映画は立ち見も出ていたそうです。

シャーマニズムの未来について語り合うという内容で、個性豊かなゲストが自由な感じで面白かったし、色々な話が聞けました。

最初に、麿赤児氏と劇団の人の、シャーマニズムをテーマとしたアングラっぽい演劇が行われました。

貞子みたいな、おしろいで全身真っ白くした4人の女の人たちが、神懸かりや神卸ろしのような怪しい所作を行い、Tバックのパンツ丸見えにさせながらとか、ウズメっぽい動きをしたりで、すさまじいインパクトでした。

そのうち、真ん中に神に包まれて寝てたマリモみたいな頭のおじさん(麿氏)が動き始めて、やはり全身真っ白で、オムツみたいな布をつけただけの体で、よちよち歩き回ります。
なかなか前衛的でした。
前の方に座っていた知り合いの方いわく、激しい動きのときは、おしろいみたいな粉がもくもくと飛んできてたそうです。

なによりびっくりだったのは、鎌田東二さんも神官姿で参加してたことです。
楽器担当で、何種類かの笛を吹いたり、すばらしい腕前を披露していました。
特に岩笛の音が良かったです。

貞子達のウズメっぽい動きというのは、スカートをお仲間で託しあげながら、にかっと気持ち悪い笑いを浮かべ地団太を踏んでいて、なんかそれはもっと長い時間見たかったです。

パンツ丸見えだけどエロスではなく、異様な迫力があって、おぉっと思いました。
むしろ本来は全部見せないとです。

古事記でもウズメがトランス状態になって、ストリップダンスを踊って乳房や股間を丸だしにします。他の国の神話にも、このような表現が見られます。
女性的な部分をさらけ出すというのは、すなわち受容そのものの表現です。
笑いの呪力とかもいいますが、笑顔も受容の表現です。
つまり、裸の女性の笑顔こそ、最強ってことかも。

第二部がシンポジウムで、小松和彦先生とか、鶴岡真由美先生が生で見れて、話が聞けて、感動でした。

小松先生は、凝縮した何か、力のようなものを寄せ集める場所みたいなものを作りだしていくことがシャーマニズムではないかという事で、その力がどこからやってくるか、どうつながるかということに注目しているというお話でした。

鶴岡先生は、私たちは地球の遺族であるということ、つまり、常に見送り続けているという
現実や、ヨブ記が本来はハッピーエンドではなく、幸せだった主人公が全てを奪われて終わったという内容で、それは本当は何を伝えようとしていたのかについてなどのお話などでした。
恐ろしい事はほとんどが不可抗力的で、それに常にさらされている私たちが、そこに全身全霊、魂、知力を使って挑んでいくこと、一歩を踏み出していくことが大事だということでした。

やはり、今回の大震災や、原発事故が話の大きな核になっていましたが、これこそが、原始宗教や、シャーマニズムを見直すきっかけになるのではないかというのは私もちょっと思っていました。

鶴岡先生は、ジブリ作品には、運命を黒々とした方向に変えてしまう精霊達がいるけれども、その中に光が見える、闇の中でこそ光がきらめき、地球に対する親しみを持っていることで、地球の遺族であるという感覚が初めて手に入るといいます。

体調不良で欠席だった佐々木宏幹先生によると、原発処理の詰め所には神棚があるそうです。
自然の力にかなわないと痛感したとき、復興、再起する力はどこからくるか。それこそ、目に見えないものの出番だといいます。

漫画家の岡野玲子氏は、原発にチャネリングしたら、男の子の魂で、エネルギーを出し続けて止まらない状態をとてもショックに思っていて傷ついているということでした。
原発にも魂があることを知っていただきたいというお話でした。

確かに、つくもがみ、八百万の神のように、あらゆるものに魂が存在するという観念を持つ事は、今の消費社会に逆行しているけれど、人は優しくなれる気がします。
縄文の頃からの原始信仰が神道には息づいていますが、西洋式の、自然を支配するという考え方ではなく、共生しているという意識が、今後人類が生き残っていく為の重要な鍵になっていくと思っています。
木や森を敬っていたおかげで、日本には豊かな自然が今も残っています。
自然がなくなった文明は、最終的には皆滅んでいます。

大震災、原発事故以降の、大きな意識の転換期を迎えた今、たまたまこのシンポジウムが行われた事の意義は大きいと思いました。

他にも能の研究者の松岡心平先生や作曲家の新実徳英氏、映画監督の大重氏のお話も聞けて、面白かったです。
今回、ディスカッションがなかったのが残念でしたが、濃い内容でした。


終わった後は、久々に再開した知り合いとお茶をして、神社話で盛り上がりました。
女一人で全国の色んな神社に行ったりしてて、ちょっと私と似た匂いがするのです。
聞いてたら、また色々と行きたくなってきました。

ちなみに写真はぜんっぜん関係なく、学校のカフェです。最新作?のフォンダンショコラが美味しかったです。
明日が今年度初授業です。がんばるぞ~!